| 株式公開ハンドブック 第4版
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[編著]TFPビジネスソリューション株式会社、優成監査法人
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平成16年4月21日 第4版発行 |
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定価 1,200円(税別) |
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目次
第1章 株式公開とは何か
1.証券取引所市場
2.株式店頭市場(ジャスダック市場)
第2章 株式公開のメリット・デメリット
1.株式公開のメリット
2.株式公開のデメリット
第3章 株式公開制度の概要
1.公開審査
2.形式基準
3.実質基準
4.公開後の会社情報開示(ディスクロージャー制度)
5.新規株式公開の実際
第4章 株式公開に関わる法規制
1.公開前規制
2.株式公開後に適用される法規制
第5章 株式公開実現までに行わなければならない事項
1.公開準備を開始する前に実施すべき事項
2.公開直前々々期もしくは公開直前々期に実施すべき事項
3.公開直前期に実施すべき事項
4.公開申請までに実施すべき事項
5.公開までに実施すべき事項
6.公開後実施すべき事項
第6章 資本政策について
1.資本政策とは
2.資本政策の作成方法
3.基本方針の設定における留意事項
4.公開時の株価および発行済株式数の想定における留意事項
5.公募および売出株数の決定における留意事項
6.個別スキームの決定における留意事項
第7章 関係会社対策
1.株式公開準備段階での関係会社対策の意義
2.株式公開準備段階での関係会社とは
3.公開審査で意識すべき関係会社の範囲について
4.連結の範囲
5.関係会社に関する今後の公開審査の方向性
第8章 株式店頭市場(ジャスダック市場)
1.株式店頭市場(ジャスダック市場)
2.店頭登録基準(ジャスダック上場基準)
3.ジャスダックの開示情報
第9章 東証マザーズ
1.東証マザーズとは
2.マザーズ創設の背景
3.マザーズの対象企業
4.マザーズの特徴
5.マザーズの上場基準(形式基準)
6.マザーズの上場審査基準(実質基準)
第10章 大証ヘラクレス
1.ヘラクレス(旧:ナスダック・ジャパン)とは
2.ヘラクレス上場基準(形式基準)
3.ヘラクレスの上場審査(実質基準)
4.上場までのスケジュール
5.ヘラクレスの開示情報
第11章 その他の新公開市場
1.セントレックス(名古屋証券取引所)
2.アンビシャス(札幌証券取引所)
3.Qボード(福岡証券取引所)
第12章 公開基準一覧表
第13章 新規公開状況


株式公開とは、オーナー一族など少数の株主によって保有されていた企業の株式を、不特定多数の投資家が自由に株式を売買できる証券市場に流通させることです。株式公開により、企業は広く社会から資本を集めることができます。また同時に、多数の人々が容易に企業の所有者として経営に参加できるようになるため、企業が社会的な存在になることであるとも言えます。
株式を流通させる市場(証券市場)は複数存在しており、市場ごとに株式公開のための条件(公開基準)は異なっています。企業は公開しようとする市場の条件をクリアすることで自社の株式を当該市場に流通させることができます。
従来、日本における証券市場としては証券取引所と株式店頭市場がその中心でありました。しかし、平成11年以降、東証マザーズやナスダック・ジャパン(注)といった新しい市場が創設され、これから公開を目指そうとする企業にとっては、公開市場の選択肢が大きく広がりました。
(注) ナスダック・ジャパン市場は、平成14年12月16日よりその名称をニッポン・ニュー・マーケット「ヘラクレス」に変更されています。
以下、各市場について概観します。
株式の発行会社の申請に基づき、証券取引所の審査を経て、株式を証券取引所で売買できるようにすることを上場といいます。
証券取引所とは、有価証券等の売買取引をする目的で証券取引法の規定により設立された市場で、全国に5ヶ所(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)の証券取引所(注1)が存在します。
このうち、東京・大阪・名古屋の各証券取引所には、市場第1部と第2部が存在します。さらに、大阪証券取引所には平成10年12月に新市場部が誕生したため、市場第1部・市場第2部・新市場部があります(注2)。
(注1) 広島証券取引所・新潟証券取引所は、平成12年3月1日に東京証券取引所に吸収合併されました。また、京都証券取引所は、平成13年3月1日に大阪証券取引所に吸収合併されました。
(注2) 大阪証券取引所の新市場部は平成15年4月1日に廃止され、新市場部銘柄はヘラクレス(グロース基準)に承継される予定です。
上記の既存市場に加えて、各証券取引所は平成11年10月以降、各証券取引所内にそれぞれ新興企業向け新市場を開設しました。
東京証券取引所は、平成11年11月に高い成長の可能性を有する新興企業の資金調達を円滑にし、以て新たな産業の育成に資するとともに、投資者に多様な投資機会を提供することを目的として、ベンチャー企業向け新市場「マザーズ」を創設しました。
大阪証券取引所は、平成12年6月に、ナスダック・ジャパン株式会社と業務提携し、ナスダック・ジャパン市場を開設しました。ナスダック・ジャパン市場は、米国ナスダックのノウハウやコンセプトを導入し、成長性豊かなベンチャー企業などに資本市場での資金調達の機会を拡大し、投資家に資産運用の国際化に対応した投資機会を提供することを目的として創設されました。
なお、平成14年10月にナスダック・ジャパン株式会社と大阪証券取引所の業務提携契約が解消されことにより、ナスダック・ジャパン市場は、大阪証券取引所が運営を継続することになりました。これに伴い、同市場の名称が平成14年12月16日よりニッポン・ニュー・マーケット「ヘラクレス」に変更されています。
さらに、他の証券取引所でも、新興企業向け市場が開設されました。
名古屋証券取引所は平成11年10月に「セントレックス(成長企業市場)」を、札幌証券取引所は平成12年4月に「アンビシャス」を、福岡証券取引所は平成12年5月に「Q-BOARD」(Qボード)を創設しました。各証券取引所とも成長性が期待できる新興企業に資金調達の場を提供しています。
《参考》 証券取引所の第1部と第2部について
東京・大阪・名古屋の各証券取引所に初めて上場される株式は、原則として、まず市場第2部銘柄に指定されます。取引所はこれらの銘柄について、当該上場会社の決算期ごとに提出される有価証券報告書等に基づいて毎期調査を行っており、「市場第1部銘柄指定基準」に適合すると認められる場合には、市場第1部銘柄指定のための審査を受けることができる対象となります。
この市場第1部銘柄への指定は、新規上場とは異なり上場会社の申請によるものではなく、取引所が市場第2部銘柄のうちから、「市場第1部銘柄指定基準」に適合すると認められる銘柄を市場第1部銘柄に選定するものです。
証券会社の審査を経て、企業が発行する株式を日本証券業協会に登録することを店頭登録といいます。日本証券業協会は証券会社が組織する社団法人です。株式店頭市場は証券取引所のように組織化された市場ではなく、取引所を通さず証券会社の店頭で株式の売買が行われる市場です。
なお、平成13年7月より以下のような趣旨から、株式店頭市場の一般呼称を「JASDAQ(ジャスダック)市場」とし、店頭登録することを「JASDAQ上場」と呼ぶようになりました。
(1) 米国の「NASDAQ」(ナスダック)をはじめ各国の店頭市場では、呼称として「〜SDAQ」という名称が共通して用いられており、国際性の観点から、市場の特徴を表す名称に変えることにより、発行会社、投資家等利用者の利便性にも資する。
(2) 98年12月施行の改正証券取引法において店頭売買有価証券市場は「証券取引所の補完市場」から「証券取引所と並列する市場」へと、その法的位置付けが見直されており、市場間競争の実態を踏まえれば、旧来の補完的存在としてのイメージを払拭する必要があるので、成長企業としての市場のイメージを明示する観点から、JASDAQ(ジャスダック)を使用することとする。
(3) 売買の執行は最新鋭のJASDAQシステムにより自動化されており、高い透明性を有する点においても、「店頭」の語感として付きまとう物理的に証券会社の店頭でモノ取引が行われているようなイメージは取引の実態にそぐわない。
◆ 証券市場一覧
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証券市場名
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従来の市場
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新興・成長企業向け新市場
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| 証券取引所市場 |
東京証券取引所 |
市場第1部、第2部
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マザーズ
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| 大阪証券取引所 |
市場第1部、第2部
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ヘラクレス
新市場部
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| 名古屋証券取引所 |
市場第1部、第2部
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セントレックス
(成長企業市場)
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| 札幌証券取引所 |
既存市場
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アンビシャス
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| 福岡証券取引所 |
既存市場
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Qボード
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| ジャスダック(店頭)市場 |
第1号基準
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第2号基準
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株式公開は、公開会社、株主、従業員にとって、以下のような様々なメリット・デメリットがあります。
貴社が株式公開を目指すにあたっては、これらのメリットとデメリットを比較衡量した上で、株式公開をした方がよいのかどうかを判断する必要があります。

株式公開により、(未公開時代には難しかった)公募による時価発行増資、社債、新株予約権付社債の発行などの直接金融の道が開かれます。また、金融機関に対する信用力が向上し、より有利な条件での借入が行い易くなります。このように、株式を公開することによって多様な方法による多額の資金調達が可能となり、財務体質を強化することができます。
株式を公開できるのは、公開審査をクリアした一握りの会社であるため社会的信用度が飛躍的にアップします。また、公開会社は日々の株価や決算情報、事業内容や経営方針などがマスメディアにも取り上げられるため知名度もアップします。これにより顧客や得意先、仕入先等の取引先や金融機関に対して取引条件や与信面等で有利になるものと考えられます。
株式公開により、貴社は将来性があり安定している魅力的な会社と評価されるようになります。これにより、貴社への就職希望者が増え、優秀な人材を確保できる確率が高くなると考えられます。
株式公開により、役員や従業員は、貴社で働くことへの満足感を増し、貴社への愛着心を高めるでしょう。また、社員自身の社会的信頼性も高まり、公開会社の社員としての自覚を持つようになるでしょう。さらに、ストックオプション制度や従業員持株会を活用することによって社員の志気・モラルをより一層アップさせることができると考えられます。
組織的な経営管理体制は公開審査の重要項目です。そのため、公開準備の過程では、内部牽制組織や予算管理といった経営管理体制の強化が図られることになります。これにより、これまで見えにくかった経営管理上の数値やデータ、その流れなどがタイムリーに把握できるようになり、経営の機動性・迅速性も増します。
株主、特にオーナー経営者は株式公開時に自社株を市場で売出すことにより、莫大なキャピタル・ゲイン(創業者利潤)を得ることができます。なお、公開時のキャピタル・ゲインについては、税務上の優遇措置が設けられています(注)。ただし、現行の証券税制については、大幅な改正・見直しが進められているため注意が必要です。
(注)「公開株式の特例」や「エンジェル税制」と呼ばれる優遇税制があります。
株主にとっては、株式公開により、株式の流通性が高まり、公正かつ客観的・合理的な株価が形成されるため、投下資本の回収が容易になります。さらに、公開後は、公開前に比べて一般的に株価が高くなることが多く、株式の財産的価値が高まります。
投資家保護の観点から、公開会社に対しては、投資判断のための資料として決算発表、有価証券報告書、半期報告書の提出が義務づけられており、その他にもタイムリーな企業内容の開示が要求されています。これらにより、「ガラス張り経営」が要求されます。
株式公開によって株式が広く一般投資家の間で取引されるようになると、経営者の経営責任、企業の社会的責任は飛躍的に増大します。
経営者は、株式公開前には少数の特定の株主だけを意識していれば十分でしたが、株式公開後には社会に散在する多数の株主のための経営を求められます。株価や配当について常に株主からプレッシャーを受けるだけでなく、社会的企業にふさわしいコーポレート・ガバナンスやコンプライアンス(順法精神)が強く求められます。そのため、経営者はこれまで以上にその発言や行動に十分な注意を払い、不祥事やスキャンダルが絶対に起こらないようにしなければなりません。
株式公開により、株式が社会一般に流通するようになると、自社の株式が投機的取引や、買い占め、敵対的買収の対象となる可能性があります。また、最近は減少傾向にあるものの株主総会で悪質な株主が少数株主権を乱用する場合や、株主代表訴訟を受ける場合にも、十分に注意を払っておく必要があります。
株式公開の準備段階では、経営管理体制の整備、人材の確保、公開申請資料の作成に多大なコストが必要となるでしょう。また、上場時には、上場審査料、上場手数料、募集・売り出しに係る引受手数料なども発生します。
さらに、公開企業になれば、ディスクロージャーに伴う経理事務、株式事務、株主総会の運営など、事務量が飛躍的に増加します。また、毎年、監査費用、上場管理料、有価証券報告書等の開示資料の作成費用、IR活動費などの費用が発生するようになります。
これらのコストは、一年あたり数千万円にもなる場合も少なくありません。株式公開を目指すにあたっては、これらのコストを事前に十分認識しておく必要があります。
株式が公開されると、不特定多数の投資家が公開会社の発行する株式を売買することが可能となります。そのため、公開会社は投資家が安心して投資できるような会社でなくてはなりません。そこで、公開をしようとする会社は、公開企業としての資質があるのか否かについて、公開前に十分な審査を受けることになります。
公開審査には、形式基準と実質基準という2つの基準があります。形式基準は、公開申請をするために最低限必要とされる要件であり、形式基準を満たしていないと実質審査には進めません。実質基準は、形式基準をクリアした会社が公開会社としての適格性を有しているかどうか実質審査を行う際の基準です。

証券取引所上場とジャスダック上場(店頭登録)について審査基準の水準を比較すると、証券取引所上場(マザーズ等ベンチャー向け市場を除く)の方が、ジャスダック上場(店頭登録)よりも、形式基準においても実質基準においても厳しい内容となっています。
したがって、証券取引所上場を目指す会社は、ジャスダック上場(店頭登録)を目指す会社に比べて一般的に、より大きな企業規模とより整備された内部管理体制が必要です。
◆ 証券取引所上場とジャスダック上場(店頭登録)の主たる相違点
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証券取引所上場
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ジャスダック上場
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| 申請者 |
発行会社 |
幹事証券会社
(2社以上) |
| 申請先 |
証券取引所 |
日本証券業協会 |
| 審査の主体(注) |
証券取引所 |
@ 主幹事証券会社
A 株式会社ジャスダック |
| 最終承認 |
証券取引所 |
日本証券業協会 |
| 公開の方法 |
公募または売出し
但し、既に他の取引所に上場されている場合等で株主の分布状況が基準を満たしていれば、必ずしも必要としない。
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公募または売出し |
(注) 証券取引所上場の場合は、株式の発行会社が直接証券取引所の審査を受け、主幹事証券会社は側面から提言・アドバイスを行います。一方、ジャスダック上場(店頭登録)の場合は、主幹事証券会社が主体となって審査を行います。
形式基準では、公正な株価の形成や株式の流通性の確保という観点から、公開株式数、株主数などについて、また、公開後も継続企業として適正な収益を上げ株主に還元できるかという観点から、純資産の額、利益の額などについて基準が規定されています。
形式基準は各市場によって異なりますが、以下にジャスダック(店頭)市場の第1号基準と東京証券取引所市場第2部の形式基準を示します。
相対的に証券取引所の形式基準の方が、より厳しい内容となっているのが理解できると思います。
◆ 形式基準の比較
| 項目 |
ジャスダック(店頭)市場
第1号基準
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東京証券取引所
市場第2部
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(1) 設立後の
経過年数
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− |
3年以上 |
| (2) 利益の額 |
直前事業年度の当期純利益の額が連結・単体ともに正
(会計基準の新設・変更等により発生した費用または損失を加えることができる。)
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次のa.またはb.に適合すること(連結損益計算書による)
a. 最近2年間について、最初の1年間は1億円以上、最近の1年間は4億円以上
b. 最近3年間について、最初の1年間は1億円以上、最近の1年間は4億円以上、かつ、3年間の合計が6億円以上
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(3) 純資産
(株主資本)
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直前事業年度末において純資産額が連結・単体ともに2億円以上 |
直前事業年度末日において10億円以上(原則として、連結貸借対照表による。) |
(4) 時価総額
売上高
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− |
時価総額1,000億円以上、かつ、最近1年間の売上高が100億円以上
なお、当該基準を満たす場合には、「(2)利益の額」基準への適合を要しない。
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| (5) 公開株式数 |
公募増資または売出しによる500単元以上の株式(自己株式を除く)の公募増資等
ただし、登録日における浮動株比率30%以上が見込まれる場合は、公募増資または売出は任意(株主数基準に適合することが前提)
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4,000単位以上 (注1) |
| (6)株式の分布状況 |
少数特定者
持株数
(注2)
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− |
75%以下 |
株主数
(注3)
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登録日における登録申請に係る株式(自己株式を除く)の単元数が、
・1万単元未満の場合
…300人以上
・1万単位以上
2万単元未満の場合
…400人以上
・2万単元以上の場合
…500人以上
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上場日における上場株式数が、
・1万単位未満の場合…800人以上
・1万単位以上2万単位未満の場合…1,000人以上
・2万単位以上の場合…1,200人+1万単位ごとに100人(上限 2,200人)以上
ただし、投資単位(注4)が、
10万円以上50万円未満の場合には、それぞれ上記の半数以上(800人を下限)とし、10万円未満の場合には800人以上とする
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| (7) 監査法人等の監査意見 |
直前2事業年度の監査報告書が添付され、かつ、直前事業年度の監査意見が「適正」であること。 |
a. 最近2年間((2)b.の基準を適用する場合は、最近3年間)に「虚偽記載」を行っていないこと
b. 最近2年間((2)b.の基準を適用する場合は、最近3年間)の監査報告書等の総合意見が原則として「適正」であること
c. 最近1年間の監査報告書等が原則として、「無限定」であること
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| その他 |
株式事務代行機関の設置、株券の様式、株式の譲渡制限など |
株式事務代行機関の設置、株券の様式、株式の譲渡制限など |
(注1) 1単位は、単元株制度を採用する場合には1単元の株式の数をいい、単元株制度を採用しない場合には1株をいう。
(注2) 「少数特定者持株数」は、大株主上位10名、特別利害関係者(役員等)および新規上場申請者が所有する株式の総数。
(注3) 「株主数」は、1単位以上を所有する株主の数(大株主上位10名および特別利害関係者並びに新規上場申請者が自己株式を所有している場合の当該新規上場申請者を除く)。
(注4) 「投資単位」は、1単位当たりの価格。
実質基準は形式基準とは異なり、特定の数値としての基準は存在しません。実質基準では、企業経営の継続性、経営管理組織の整備・運用状況、企業内容の開示状況、特定利害関係者や関係会社との取引状況といった観点から、企業の実態が公開会社としてふさわしいか否かについて問われます。
以下では、証券取引所上場における実質基準とジャスダック上場(店頭登録)における実質基準を説明します。
まず、証券取引所上場における実質基準です。
◆ 実質基準(東京証券取引所)
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《 株券上場審査基準第2条 》
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《 株券上場審査基準の取扱い1(要約)
》
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| (1) 企業の継続性および収益性
継続的に事業を営み、かつ、経営成績の見通しが良好なものであること
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@ 損益および収支の見通しが良好なものであること |
| A 新規上場申請者が相当の利益配当を行うに足りる利益を計上する見込みのあること |
| B 仕入れ、生産、販売その他経営活動が、取引先との取引実績、製商品の需要動向等に照らして、安定的かつ継続的に遂行することができる状況にあること |
| C 資産の保全および経営活動の効率性を確保するため、経営管理組織が適切に整備、運用されている状況にあること |
| D 従業員の異動または出向者の受入れ等の状況が、事業の安定的な遂行に必要な人員が確保されない状況にあるなど、継続的な経営活動を阻害するものでないこと |
| (2) 企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること
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@ 特定の者に対し、取引行為その他の経営活動を通じて不当に利益を供与していないこと |
| A 役員相互の親族関係、その構成または他の会社等の役員等との兼職の状況が、公正、忠実かつ十分な事業の執行または有効な監査の実施を損なう状況でないこと |
| (3) 企業内容の開示の適正性
企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
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@ 企業内容の開示に係る書類が法令等に準じて作成されており、かつ、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項が分かりやすく記載されていること |
| A 会計組織が、採用する会計処理の基準等に照らして、適切に整備、運用されている状況にあること |
| B 特定の者との間の取引行為または資本下位会社等の株式の所有割合の調整等により、企業グループの実態の開示を歪めていないこと |
| C 会社情報の管理に係る社内規程に基づき経営に重大な影響を与える事実等の会社情報を管理し、当該会社情報を適時、適切に開示することができる状況にあること |
| 申請会社が親会社等を有する場合 |
上記各項目の他、親会社等からの独立性が確保されている状況にあること |
| (4) その他公益または投資者保護の観点から東証が必要と認める事項 |
その他公益または投資者保護の観点から適当と認められること |
次に、ジャスダック上場(店頭登録)の実質基準ですが、証券取引所上場の実質基準に準じたものとなっており、以下の事項を重点に審査されます(店頭売買有価証券の登録等に関する規則(公正慣習規則第1号)第4条)。
◆ 実質基準(ジャスダック)
(1) 事業の内容
(2) 企業経営の健全性
(3) 企業内容等の適正な開示
(4) その他の会員(証券会社)または日本証券業協会が必要と認める事項 |
| 4.公開後の会社情報開示(ディスクロージャー制度) |
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(1)ディスクロージャー制度の概要
公開後の会社は、公正な価格形成と投資家保護を図るために、会社情報を積極的に開示する義務を負います。このように、公開会社が自社の経営に関する情報を投資情報として投資家に対して広く開示することをディスクロージャーといいます。
ディスクロージャーには、商法や証券取引法で定められた法定開示と、証券取引所もしくは証券業協会の規則に基づく開示との2種類があります。
(2)商法に基づく開示
商法は、株主保護および債権者保護を図るために、以下のような開示制度を設けています。商法に基づく開示は、非公開会社であっても当然に要求されるものですが、株式の流動性が高まり株主が分散する公開会社では、より一層遵守することが要請されます。
@ 株主総会(決算報告等)
A 公告(決算公告、新株発行、合併その他の公告)
(3)証券取引法に基づく開示
証券取引法は、公正な価格形成と投資家保護を図るために、以下のような開示制度を設けています。このうち、@は定期的な開示であり、AとBは臨時的な開示です。
@ 有価証券報告書、半期報告書……半期ごとに作成・開示(証券取引法24条@、24条の5@)
A 臨時報告書……重要な事象が生じた都度、作成・開示(証券取引法24条の5C)
B 重要事実(インサイダー情報)の公表 (詳しくは第4章2.(2)を参照ください。)
(4)証券取引所・証券業協会の規則に基づく開示
各証券取引所および証券業協会では、投資情報の適時かつ迅速な開示を図るため、法定開示の他に、以下のような適時開示制度(タイムリー・ディスクロージャー制度)を設けています。
@ 四半期報告書の提出……ジャスダック第2号基準、東証マザーズ、大証ヘラクレスで開示することが義務づけられています。
A 会社情報適時開示……決算短信などの一般的情報や、業務等に関する重要事実に基づく情報を開示する必要があります。(詳しくは第4章2.(4)をご参照ください。)
◆ 株式公開後のディスクロージャー制度のまとめ
新規株式公開にあたっては、幹事証券会社が証券取引所や日本証券業協会に対して推薦・申請を行います。そこで、公開に向けて事前に証券会社に幹事を引き受けてもらう必要がありますが、幹事証券会社としてのうまみは公開時に発生する引受手数料にあります。引受手数料の金額は公募する株式の時価総額に連動するので、公募による調達金額が少なかったり、収益力が低く今後の大きな成長が見込めないなど、投資家に人気の出ない銘柄は幹事証券会社としてはうまみが少ないことになります。
そのため、たとえ形式基準や実質基準を満たしていたとしても、投資家から見て魅力のない会社は実際には証券会社が幹事を引き受けてくれない場合があると考えられます。したがって、株式公開を達成するためには、形式基準や実質基準を満たしていることに加えて投資家から見て魅力のある会社(高収益あるいは成長性大)である必要があると言えます。
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